カラーレコードを入手した。
盤もセンターレーベルもまっ白である。
「the other side of absolute ego」というレコードである。
アーティストは、ACO。
彼女の傑作アルバム「absolute ego(1999年)」のリミックス盤である。
このレコードを入手して、はじめてこのリミックス盤のことを知った。
ACOは、90年代に10代でデビューした日本の女性歌手の作品だ。
名前の響きとそのつづり方から、charaやUAに続く女性歌手として売りだそうというレコード会社の思惑が感じられる。
MISIAとかね。
「charaやUAに続く流れ」というのは、洋楽のある種のとがったところを取り込み、ファッションを備えた一歩先のポップス、というような90年代後半の日本音楽業界の流れである。
私は当時、ラジオから聴こえてきた彼女の歌声にひかれた。
線が細い高音で、小悪魔的キュートさが際立っていた。
ほどなくリリースされたデビューCDを早速購入し繰り返し聴いた。
それは1996年のことで、今や彼女も30代後半だというのだから時の経つのははやい。
1996年の東京というのは実に面白い場所だったのだが、それはまた別の話だ。
ACOの最近の活動を調べてみると、ニューアルバムをリリースしたばかりだった。
YouTubeのにアップされた新曲の声には驚いた。
あの声はどこへ。
でもとても素晴らしい。
はっとするほど素晴らしい。
「未成年」というタイトルも、歌詞も素晴らしい。
引用したいところだがやめておく。
デュエットしてるくるりの岸田繁もまた素晴らしい。
イントロの重厚な響きを聴いた瞬間、ジョニー・キャッシュが晩年にリック・ルービンと作り上げた「アメリカン・レコーディングス」の雰囲気を思い出していた。
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しかし、カラーレコードとはなつかしい。
「こんなカラフルなレコードもあるんだよ」なんてチビ達に見せた。
息子は反応無し。
娘は「ほんとだまっしろだ」と一瞬だけ目線をあげて、またスマホに落としたのだった。