私にとって、今年一番のニュースは、定額制音楽サービスを利用しはじめたことだ。
Spotify(スポティファイ)である。
この11月からなので、遅ればせながら、ではあるが。
使い始めてひと月ほど。
驚きの連続である。
Spotify以前とSpotify以後では、音楽の楽しみ方が変わったといって過言ではない。
これまで、聴きたい音楽があったらいかにしてその音源を入手するか、が問題であった。
CDレコード、買うか借りるか、といった選択である。
基本的には「モノ」がなければ音楽は聴けなかったのだ。
CDをiTunesに取り込んで、というのはCDありき。
新譜のレコードを買ったら、データダウンロードがついてきたときには驚いたが、あくまでもレコードありきの話。
YouTubeの出現によって、「モノ」がなくても音楽を聴くことはできるようになったものの、これを利用して日常的に音楽を楽しむ、というのとは少し違っていた。
いくばくかの罪悪感という問題も含め。
思い返せばCDの登場が、これまでで一番の驚きだったように思う。
時は80年代中ごろのバブル前夜、新たな時代が始まる感じは確かにあった。
私が中一だったか中二だったか、CDが聴けるということで特に親しくもない同級生の家にわざわざ遊びに行ったほどだ。
何のCDを聴いたかもどんな音だったかも覚えていないが、CDはぴかぴかきらきらと輝いていた。
レコード屋さんで見る新譜は、レコードとCDで発売されるようになり、次第にレコードは隅に追いやられていった。
しかし私はレコードを買い続けた。
自分専用のコンポを手に入れたのが高校生のときで、世間はCDへ移行していたが迷わずレコードプレイヤ付の機種を選んだ。
その後新譜レコードは基本リリースされなくなった。
買うのは中古レコードばかりとなり、今へと続いてる。
そしてSpotifyである。
CD登場以来の衝撃である。
もう「買う」「買わない」の選択は必要なくなった。
あのアーティストとこのアーティストの新譜が今度発売になるけど金欠なんでどっちから買おうか、なんて悩みは必要ない。
ラジオで初めて知ったバンドがすでに10枚のアルバムを出していたけどどれから買おう?という悩みも無用である。
そこには「聴く」か「聴かないか」の2択しかないのだ。
凄い!
凄いとしか言いようがない。
古今東西の音源が所蔵されたライブラリが手元にやってきてしまったのだから。
巨大CDショップの棚が常に手元にある気分だ。
いうならば「国立国会図書館で暮らしている」ような感覚である。
すべてではないが、おおむね聴きたい音源が聴ける!という驚き。
といいつつレコードを買う私を家族はあきれている(笑)